海外旅行で感じた「腕時計のオンライン取扱説明書」の有り難さと未来

2016.10.24 岡田定晴
 秋のモノローグ(作曲:Amacha)

 昔のゼンマイ式の腕時計は、時刻と日付を示すだけの簡単な機能しか有りませんでしたが、操作は誰にもわかる単純明快なものでした。 今から10年くらい前、標準電波を受けて時刻を自動で校正する太陽電池付きの腕時計が発売されました。 時刻の校正や電池の交換作業も要らない、光に当てていれば永久に正確な時を刻む夢のような時計が現れました。

 5年くらい前のこと、子供たちからプレゼントされた日本製の腕時計は、10年前のものと比較すると若々しくカッコイイもので、当時、若者たちが欲しがる腕時計でした。 標準電波で時刻を自動校正するので、海外に行っても、何も操作しなくても自動で現地の時刻を表示するものと思い込んで、 複雑そうな操作を確認することをすることもなく海外旅行に出かけてしまいました。 ホテルの部屋に着いて、現地の電波で時刻が自動校正されると思って楽しみに時計を見ていましたが、日本時間のままで変わりません。 操作方法がわからないまま、適当にスイッチを操作してみましたが、現地時間には合わせることはできませんでした。 「日本時間の表示を見て、頭の中で時差を計算して現地時間を知って旅行を乗り切るしかないか、大変だなあ~。」と思いました。

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 成田空港で、欧州域内で使える”WiFiルーター”をレンタルしていたので、インターネットの接続は簡単にできました。 腕時計が現地時間に合わず困り果てて、腕時計の製造メーカーのホームページを見ると、機種名を入れれば取扱説明書が閲覧できることがわかりました。 有り難い。その取扱説明書を見ながら、腕時計を現地時間に合わせることができました。 心細い海外で、正確な時間を知ることができないまま旅行を続けなくてはならないと思うと、本当に落ち着かない気持ちになりましたが、これでホッとしました。

 インターネットで取扱説明書を閲覧できるようにしているメーカーの配慮と、更に世界中のコンピュータはインターネットで繋がっているのだということに感激しました。 その一方で、「せっかく海外に来たのに、iPadを見ていると、日本に居るのと何も変わらないではないか。海外に来たということの感激が半減してしまう。」と、 昔を懐かしく思いました。昔は、目にするもの、耳にするもの全てが日常と違うので、日本を離れて海外に来た気分を満喫できました。

 それにしても、どうしてこんなに複雑な時計をつくるのでしょうか。複雑そうで格好よく見えます。でも、使わない機能や理解できない機能は要りません。 操作方法を理解して機能を使いこなしている人はいるのでしょうか。この時ほど、時計は単純なほど良いと感じたことはありません。 「太陽電池、自動時刻校正、海外でも現地時刻に自動校正、操作の要らない完全自動」、こんな時計があれば良いと思いました。

 しかし、これからは、腕時計の代わりにApple Watchのような端末を身に着ける時代になるかもしれません。 腕に着けるなら、時計の機能だけでは勿体ないでしょう。メール通知、フィットネス、健康管理、ナビゲーション、 コンピュータとの対話、スケジュール表、Wallet、写真の確認、電話、現在位置の発信・通知、搭乗券、時計、 天気、気温、音楽再生、照明器具や家電製品の制御、時計文字盤への写真の挿入、ハートビートの伝送、 タイマーセット、スケッチ、目的地までの運行時刻とルート確認・・・等々、 腕時計の複雑さに文句を言っていられない時代になる可能性も高いでしょう。

 こういう先進的な端末を購入し、その機能を理解して使いこなせる人とそうでない人の間で「大きな格差」が生まれる時代になるかもしれないと感じる今日この頃です。


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