ストリートビューの無い時代には戻れない

2016.11.09 岡田定晴
 秋のモノローグ(作曲:Amacha)

 2009(平成21)年の暮れだったと思います。オフィスに多くの人が集まってディスプレイを覗き込んでいました。 私も後ろから覗いてみると、Googleの地図上で、位置と方向を指定すると、その景色を見ることができました。また指定した場所から移動することもできました。

 始めて見たGoogleストリートビューでした。 驚きました。自分の席に戻って、Googleマップで自宅の住所を入れ、ストリートビューを見ると、自宅の近くの道で犬を連れて散歩をしている人が写っていました。 時刻は朝、草木の状況から、冬のようでした。ストリートビューを自宅のほうへ移動すると、花を咲かせた梅が写りました。いつの間に撮影したのだろう。

 余談ですが、Google Earth を初めて見たとき、妻に、妻の実家の上空からの映像を見せました。それを見ると、妻は、すぐに田舎の母に電話をしました。 妻が「実家がコンピュータで見えるよ」と言うと、「家の外に出て手を振ろうか。」と言われたそうです。これは笑い話ですが、上空からの映像ですら、 直ぐに実家に電話をするほどの衝撃を与えたものです。ストリートビューは、Google Earthよりももっと大きな衝撃を与えました。

広告



 ストリートビューは、「住所を入れると自宅の写真が表示されてしまう、車を運転している人の顔が写っている・・・」など、社会的にも騒がれる程でした。 その後、人の顔にぼかしを入れることで、騒ぎは落ち着いたと思います。衝撃が大きなことでも、慣れてしまえば、当たり前のことになってしまいます。

 お客様との打ち合わせ、セミナーやイベントへの参加、結婚式、歓送迎会、通夜・葬儀・・・等々、初めての場所へ時間通りに行かなくてはならないケースは多くあります。 ストリートビュー以前は、地図をコピーして目的地を確認していました。しかし、初めての場所で、時間を厳守しなくてはならない場合は、地図だけでは不十分で、写真を欠かすことはできません。 地下鉄の駅を出たとき、方角が分からないのでどちらに進んで良いのか悩むことも多いと思いますが、写真があれば迷うことはありません。 地図では距離感覚がわからないので、このあたりが目的地だと思っても、通り過ぎてしまったり、まだずっと手前だったりします。 だから、ストリートビューの写真は大変有難いものなのです。

 人に場所を知らせるとき、複雑な経路を辿るときは、道に迷いそうなポイント毎に写真があると助かります。 会社の同期会の幹事になったことがあります。以前に一度だけ利用した麻布十番の店を予約しました。 その店に行くのが非常に難しかったという経験から、地図の要所要所にストリートビューの写真を入れて案内を出しました。 「わざわざ会場の下見をして道に迷わないように写真までつけてくれてありがとう。」と(立派な仕事をしている人から)感謝されました。 これは本当にあった笑い話です。下見に写真を撮りに来るなど、そんな暇はありません。それほどお人好しでもありません。 でも、ストリートビューを知らない人からすれば、わざわざ下見をして写真を撮ったに違いないと思うのは当然のことでしょう。

 その後、地図とストリートビューと日時・連絡先電話の情報を入れて関係者に配るという私流のスタイルが定着しました。 今は、googleマップもストリートビューも、APIが充実し、iframeの記述がコピーできるので、web上で簡単に表現できるようになりました。


 もう、ストリートビューの無い時代には戻れません。それは、無駄にするかもしれない時間を大幅に節約し、自信をもって安心して行動できる情報を提供してくれるからです。 国内だけではなく、海外でも。


TOPへ


 平成の徒然草ICT版    これまでのブログ

 広告




 広告