写真スタジオと記念写真

2016.11.27 岡田定晴
 秋の森の動物たち(作曲:Amacha)

 誰でも、携帯やスマホ、あるいは小型のデジタルカメラ、場合によっては高級デジタル一眼レフカメラなどを持つ時代になりました。 かつてフィルムカメラは、レンズを中心にした光学技術の粋を集めたものでした。しかし、現在のデジタルカメラは、 光学技術に加えて高解像度と高速レスポンスを実現する画像処理エンジンなどのようにマイクロコンピューター技術の粋を集めたもので、 誰でも簡単に、しかも上手に撮影できるようになっています。その技術革新が、スマホも含めてカメラを身近なものにして史上最大の カメラブームを起こしています。フィルムカメラからデジタルカメラに変わることによって写真の撮り方や見方が大きく変わったことは 誰でも知るところです。そうしたカメラの進歩は、町の写真スタジオにも大きな影響を与えています。

 誰でも名カメラマンになれるので、写真スタジオに行って撮影してもらわなくても、記念になる家族写真はいくらでも残すことができるようになりました。 それでも、私は、満1歳、七五三、入園、入学、成人式、結婚式、還暦など、人生や家族の節目となる行事があるときには、 写真スタジオで、きちんとした写真をその道のプロに撮ってもらい、額縁に入れて残したいと思うのです。



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 昔、フィルム時代の写真スタジオは、店主がカメラを覗きながら、被写体に向かって「顎を引け」だの「目線はこちら」だの「にっこりして」「目を開いて」などと注文を付け、 シャッターを押していました。フラッシュがぱっと光った瞬間に、横を向いたり、瞬きをしてしまったら、もう一度撮り直しとなりました。 時間がかかり、窮屈な感じでした。フィルムですから、何枚も撮り放題というわけにはいかず、現像しなければ結果が分かりませんでした。 だから、撮影したら、仕上がりは写真スタジオに任せるしかありませんでした。

 今は、デジタルカメラなので、何枚撮ってもフィルムを消費するようなことがないので、コストは増えません。 限られた時間の中で、如何に自然な表情を撮影するかが問題となります。 孫の記念写真の撮影に何度も立ち会っていますが、写真撮影をする人1人と補助要員2人で、 ぬいぐるみの人形を使って子どもをあやしながら、自然に笑顔がでるようにして、何枚も撮影します。 シャッターを押すたびに、端末のモニターに順々に表示されます。 撮影が全て終わってから、撮影された写真を見て気に入ったものを選んで焼き増しをしてもらうことになります。 写真を撮ったらカメラ本体の後ろ側のモニターや接続したテレビモニターで映像を見ることが出来るなんて、 フィルム時代には考えられないことです。フィルムに代わる電子的な撮像素子がもたらしたデジタルカメラと、 そのデジタル信号を処理するソフトウェア、つまり情報通信技術の進歩により実現したものです。

写真:七五三の衣装  話を写真スタジオに戻しましょう。写真スタジオには、着物やドレス、スーツなどの衣装もたくさん用意されていて、好きな衣装を選び、 撮影後は衣装を着たまま帰って自宅などで色々な写真を撮ることができます。 記念すべき日の衣装も十分に楽しむことができます。その衣装は、後日、写真スタジオに返却すれば良いのです。 また、スタジオ内にデジタルカメラを持ち込むことは禁止されていますが、ビデオカメラを持ち込むことは許されています。 商売の対象は、「写真」であって、「ビデオ」ではないということでしょうか。さらに、記念写真を名刺サイズに焼いて、 透明のパッケージに封印して名刺代わりに使えるようにするサービスもあります。

 技術の進歩とともに、写真スタジオの形態も大きく変わるものです。 昔はプロのカメラマンが撮ったきちんとした記念写真を手に出来るということに満足していました。 ダメ押し的に言うと、写真スタジオに行くのは、私の様な撮影に失敗することの多い素人と違って、 プロのカメラマンならではの立派な記念写真を撮影してもらえるからです。 誰もがデジタルカメラを持ち、何度でもシャッターを切ることができ、撮影したらすぐに結果がわかる今は、 案外、素人でも良い記念写真を撮れることがあります。そうすると、私たちの写真スタジオへの期待、 或は求めるものは自然な表情やその時の雰囲気を伝える納得のいく写真であることは当たり前で、 素晴らしい記念写真以外の色々なサービス(先述した着物やドレスなどのスタジオ外サービスや名刺仕立てサービスなど)を 求めるようになりました。科学技術の進歩は、写真スタジオに限らず、町のあちこちでこれまでの商売の在り方に変革をもたらしています。


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