病院の待ち順お知らせシステム

2016.11.29 岡田定晴
 秋の森の動物たち(作曲:Amacha)

 これまで長い間、会社勤めをしていたので、平日に自宅に居ることは滅多にありませんでした。 歯科医院での治療も、土曜日か日曜日、もしくは会社から戻って間に合う時間にしか予約を取りませんでした。 勿論、私が通う会社にも、有給休暇はありました。しかし、私は平日会社に行かずに家に居ることが、 何か悪い事でもしているような後ろめたい気分になるので、夏休みや年末年始の休暇以外は、 風邪や歯痛ぐらいで有給休暇を取るようなことはしないで、黙々と会社に行っていました。

 無事、定年退職し、起業した今は、自分で自由に時間が使えるようになりました。歯科医院の予約も平日に入れ、 その代わりに土曜日か日曜日に仕事をするようになりました。ある平日、自宅で遅い朝食をとっていたら、 何の予告もなく、近くに住む長女が孫を連れてやってきました。

 孫を病院に連れて行くのだと言っていますが、病院に出かける様子はありません。長女は妻のタブレットPCを 見ています。「呼び出し番号が20番になったら行く」などと、妻と話しています。 何をしているかと思って聞いてみると、病院で呼び出されるタイミングをタブレットPCを見ながら確認しているのだそうです。

 私は初めて知りましたが、もう5年以上も前からパソコンやスマートフォンによる予約システムが使われているようです。 スマートフォンの普及とともにこの仕組みが現れたのでしょうか。病院の待ち状況をスマ―トフォンやパソコンで確認できるので、 病院で待つ必要は無く、その時間を自分で有効に利用できる仕組みです。娘の行く病院では、朝決められた時間までに病院の窓口へ行くか、 インターネットで順番待ちの「呼出番号」を貰います。インターネットでの「呼出番号」の付与は、 朝早く病院の窓口へ行った人の後に続くように設定されているので、病院に行って「呼出番号」を貰うほうが早く診てもらえるので、 診療後の時間を有効に使う場合には便利なんだそうです。 病院に行った後に、いつもよりは少し遅れて会社や学校に行くようなときに有難い仕組みです。



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写真:日記  予約システムのサイトにアクセスすると、現在の時刻と、現在の呼出番号、現在の待ち人数が表示されます。 自分の呼出番号と、掲載した一覧表にある現在の呼出番号とを比較して、病院へ向かうタイミングが判断できるのです。 例えば、自分が申し込んだ時にもらった番号が28番なら、現在17番が呼ばれているわけですから、この後11番目に呼ばれるわけです。 病院にもよりますが、大体一人当たり診察時間が短い場合は7分程度として、(家から病院まで行く時間を15分として計算すると) まだ家で1時間は休んでいられることになります。具合が悪い中、 病院で長い時間待たされることもなく、自宅で有意義な時間が過ごせます。 私はこのようなシステムに出会ったことはありませんでした。つまり、自分が知らないうちに、孫たちが通う病院ではこうしたシステムがとっくの昔に導入されていたのです。 孫の同級生の母親たちは、皆こういった便利なシステムを導入している病院を選び、このシステムを上手に使いこなしているのだそうです。

 一方、私が通う規模の大きな総合病院は、病院に到着たときの受付、検査、検診、会計、次回の案内、処方箋の発行まで情報システム化されていて、 待たされたと苦痛を感じることもありません。また、患者の多くが私と同年代以上の人たちである小さな町の病院には、このような仕組みの無いところもあります。 現役を引退した人たちは、時間が十分にあるので、2時間や3時間待っても構わないし、せっかくシステムを導入しても使いこなせないだろうと思われているのかもしれません。

「病院の待ち状況確認システム」「診察予約システム」によって、時間を有効に活用できるようになました。 これからの時代は案外、病院の医学的優劣よりも、患者にとって便利な予約システムの有無によって利用したくなる病院が決まり、 病院の格差が生まれるのかもしれません。また、少し話はずれますが今回のことを通して、 ICT(情報通信技術)の発展で世の中がどのように変化しているのか、自分では知っているつもりでも知らないことがあるのだと 痛感しました。このことは、それだけ幅広い分野でICTの利活用が進んでいること、これまでICTとは無縁だった日常生活にもICTが浸透している ということを示すものでしょう。

話しを「病院の待ち状況確認システム」「診察予約システム」に戻しましょう。 病院や診療所に行って、診察の順番をじっと待っていること自体が患者にとっては辛く、大変なことです。 ICTのおかげで多くの患者が「こんなに長時間待っていたら、余計具合が悪くなる!」というようなことから解放され、 「長く辛い診察待ち時間」という余計な苦痛を感じなくて済みます。当然、家で休んでいられる時間が少しでも多くなります。 そうしたことの積み重ねで、病気から治るのも早くなっているかもしれません。 ICTの活用による待ち時間の大幅減少は、目には見えない新しい薬と言えるかもしれません。 娘や孫のことを思うと、心からICTに感謝です。


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