コーヒーブレイク:ベテラン歌手のライブ

2016.12.12 岡田定晴
 ソワールへ続く道(作曲:Amacha)

皇居の風景  夫婦で、68歳のベテラン歌手のライブを聴きに行きました。 いつも思うのです。自分たちが若い時に流行して好きだった歌のライブや、音楽の演奏会に出かけると、会場に集まるのは「当時の若者」、 つまり自分と同世代(60代)以上の年配の人たちなのです。しかし、会場に来るファンは、当時のまま、若いと思い込んでいる自分にとっては不思議な感覚です。 周囲を見て、自分もこんな年齢になったのかと、今更ながら感じるのです。若い人がそのライブを聴いても、決して古い感じはしないと思うけれど、 馴染みがないからなのでしょうか、それとも自分たちとは世代が違うので感覚やノリが違うと思っているからなのでしょうか。 会場に来ることの無い、今の若い人たちにも、私たちの世代が熱くなった歌を聴いてもらいたいと思うのです。



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 一時期、日本人なら名前を知らない人はいないほど有名だったベテラン歌手が、携帯電話会社へ手続きに行き、書類に名前を書いたとき、 若い店員に「ご職業は?」と聞かれたそうです。それほど時が過ぎ、世代が変わってしまったのでしょう。 夫婦で聴きに行ったホールの1086席は全て観客で埋まっています。全席同一料金なので、売り上げは簡単に計算でき、 これはすごい収入になると思うのですが、ピアノやコーラス、バンド、照明、音声、宣伝費、会場の費用、機材の運搬費、 演出や関係者の費用などの経費を引くと・・・と考えると、なかなか厳しい世界ではないかと思われます。

 ライブのその歌手の歌声は、若い時と変わらず、全く老いを感じさせません。2時間という長い時間、 ほとんど休む暇もなく歌い続けていますが、声が嗄れることはありませんでした。 声の艶、声量、表現力、実に見事だと思います。そして、50年もの間、自分の専門性に磨きをかけ、多くの人に感動や勇気を与えたり、 心の支えになってきたであろう彼の人生を大変に羨ましく思いました。

 一方、私をはじめ会社で一所懸命に働き、成果を上げるために専門性に磨きをかける多くのサラリーマンはどうでしょう。 企業戦士と言う言葉が生まれたくらい、家庭を振り返ることなく自分の時間の全てを捧げるほど働いても 「多くの人に感動や勇気を与えたり、心の支えになる」ということは、 まずありません。しかし、地道に働き続けるサラリーマンは、歌手のように派手な形ではありませんが、確実に社会に貢献し、 人々の幸せにつながる仕事をしていると言う自負を忘れてはいけないと思う日々です。


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