電子辞書

2017.01.16 岡田定晴
 移り行く時代(作曲:Amacha)

写真:平成4年ころの電子辞書  私が初めて電子辞書を買ったのは、平成4年ころです。始めて海外出張に行くときに、名刺ぐらいの大きさのカード型ワールド時計と一緒に、 ほぼ同じ大きさのカード型の電子辞書を買いました。 また、この少し後に、セイコーインスツルメンツのIC Dictionary Proffesional という英和・和英辞書を買いました。 横一行で白黒表示の液晶ディスプレイで、水銀電池で動作し、日本の単語を入れると英語が表示される、英単語を入れると日本語が表示されるという単純なもので、 変換されない単語も多くありました。 つまり、あまり実用的な商品ではなかったのでした。この電子辞書の価格は数千円程度だったので、「今の技術レベルでは、 まだこの程度のことしかできないのか。」と諦めて、電子辞書を全く使わなくなってしまいました。 まだ、重くはありましたが、昔からの辞書の方が実用的だったのです。

 それ以降、電子辞書の広告を良く目にするようになったのですが、最初に買ったときのイメージが払拭できず、興味を持つことはありませんでした。 知りたいことは、インターネットを検索したり、インターネットに公開されている辞書で調べれば良い、これで充分と思って来ました。



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写真:電子辞書 ところが最近、小学1年生の孫が、電子辞書で遊んでいました。勉強するように親が買い与えたそうです。 孫に、見せて欲しいと頼むと、自慢そうにいろいろ教えてくれました。その電子辞書の内容を見て、ほんとうに驚きました。



写真:電子辞書1台に搭載されるコンテンツの例 写真:電子辞書  掌に乗る電子辞書に、こんなにも沢山の辞書やビデオや機能が搭載されていることに言葉を失いました。 しかも、手でページをめくって目的の内容を探すより、はるかに速く求めるものが表示され、映像も音もあって理解が深まり、 搭載されている辞書を一冊づつ買い集めるより遥かに安いのです。NHK日本語発音アクセント辞典、リトルチャロまで収容されています。 でも、孫のように最初からこういう辞書に接した人には、これが当たり前で、その有難さはわからないであろうと思いました。

 初めて電子辞書を買って使ってみた日を、昨日の事のように思い出すので、いつの間にか四半世紀を過ぎていたことに驚くと同時に、 この間の技術進歩が物凄いものであったことを実感しました。それと同時に、もし自分がどこかの時点で進歩した「電子辞書」を買っていたら、 どれほど時間が節約できただろうか、どれほど自分を賢くしてくれただろうかと後悔の念が湧いてきます。

 この四半世紀の進歩をもたらしたものは、主に半導体の集積度や性能の向上です。インテル創業者の一人であるゴードン・ムーアが、 1965年に「半導体の集積率は24か月で2倍になる」と唱えた経験則(ムーアの法則)がずっと続いてきたことによるものです。 24か月で2倍になるとは、2年後には2倍、5年後には5.65倍、10年後には32倍、20年後には1024倍、30年後には32768、 40年後には1048576倍になることです。最近ではもう限界に近いと言われていますが、これまでずっとこの指数関数的な集積度の向上、 物凄い技術の進化が続き、多くの情報を詰め込めるようになりました。 これによって、電子辞書も多くの種類の辞書や動画コンテンツを搭載することが可能になりました。 この半導体の進化は、ICT(情報通信技術)の進歩も支えてきました。

 何事も、最初に見たもの、感じたことの影響は大きいものですが、技術が急速に進歩しているということを常に意識していないと、 先入観のために損をしてしまうことがあるとの教訓を得ました。そういう意味では孫に感謝ですが、一方で、 孫に今の世の中の技術レベルの高さを知らされるという、嬉しいような悲しいような話でもありました。


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