「時刻表」と「路線情報」

2017.02.24 岡田定晴
 夢の名残り(作曲:Amacha)

昭和48年7月の時刻表(外観)  今から40年以上も昔のこと、1970年代前半の学生時代の長期休暇期間には、よくユースホステルを利用して旅行をしました。 旅行のガイドブックを買って読んで、興味を持った場所を巡る予定を決め、 毎月発行される最新の分厚い「時刻表」を買って列車の時刻を確認して具体的な行動予定を決めるのです。 いまでも「周遊きっぷ」というものがありますが、当時の国鉄の「周遊券」は、出発駅を出て九州域内、北海道域内、東北域内など 地域限定で、普通列車と急行列車に乗り放題、出発した駅に戻るまでの有効期間は2~3週間くらい、金額は5000円~8000円前後でした。 座席指定や特急には、その料金を追加すれば乗車することができました。時刻表には、電車以外にバスや船の運行時刻表も掲載されており、 これらの情報を間違いなく読みこなして詳細なスケジュールを作成するのでした。ユースホステルは、一泊700円~1000円くらいでした。



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時刻表  面倒に思われる作業も、時刻表の読み方がわかって、慣れれば楽しいものでした。「知らない遠くの町への旅行」の計画を自分自身の力で企画し実行することが、 旅行の楽しさそのものでした。当時は、旅行会社の企画する団体旅行というものを敬遠していました。自由になる時間を持っていてもお金を持たない学生でした。 旅行会社にお金を払って、自分の意志ではなく旅行会社の意志によって行く先が決められ、行動時間まで制約されるため、 旅行の楽しさが無くなってしまうと思っていました。団体旅行は、自ら企画して実行するという楽しさを奪ってしまうものでした。

 時間があって、お金が無くて、好奇心旺盛な学生時代はそれで良かったのですが、社会人になり家庭を持つようになって、考え方が変わってきました。 団体でなければ簡単に行けない場所を訪問できること、ポイントを外さないスケジュール、貸し切りのバス、観光案内、レストランに行ったらすぐに食事が出てくる など効率的に時間が使えること・・・など、そのコストパーフォーマンスは個人では真似ができません。 仕事が忙しく、時刻表を見て自分で予定を組む時間など無くなってしまいました。

 社会人になってからも、出張のスケジュールを組むには「時刻表」は不可欠でした。どこの職場にも、時刻表が置いてありました。 ベストセラーの本が「時刻表」と言われていた時もあります。 路線情報 その「時刻表」を使わなくなったのは、今から10年位前のことです。 Yahoo!路線情報で、出発、到着、日時(出発・到着・始発・終電)、運賃種別(ICカード・現金)、定期券区間などの情報を入力すれば、 ルートがいくつか示され、その所要時間や運賃もわかります。「時刻表」を手でめくって調べるよりはるかに手間がかからずに楽です。 出発駅や到着駅周辺のホテルやグルメ情報、到着地周辺の注目スポットまでわかります。それでいて路線情報を利用するのに料金は要りません。 「時刻表」を買う手間やコストも要りません。時刻表を調べるというあまり生産的でないことに時間を費やすこともなくなりました。

普段、意識することはありませんが、多くの従業員を抱える企業は、これによって大きな恩恵を受けている筈です。 利用している者にとっては想像でしかありませんが、「路線情報」がYahoo!に多くの人を集め、広告主にとっては顧客増、Yahoo!にとっては売上増という 好循環があるのかもしれません。そうした中で、「路線情報」という仕組みが発展し、広く世の中の人々が恩恵を受けているのでしょう。 「路線情報(乗換案内)」は、今や水や空気のような存在になってしまいましたが、「時刻表」の時代を思い出して、改めてICT(情報通信技術)発展の 恩恵を受けていることを感じました。


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