航空機内の巨大オンデマンドシステム

2017.08.21 岡田定晴
 夕日に羽ばたく心(作曲:Amacha)

 35年ほど前に、私が初めて国際線に搭乗した時は、機内のエンターテイメントは、音声の10数チャンネルしかありませんでした。 日本語、英語、中国語(広東語)のニュースや音楽でした。それでも、日本語以外の言葉や音楽が聴けることが新鮮な 体験でした。航空機が、台湾、香港、シンガポールなど経由地で人が降りる度に、周囲から日本人の姿が消えていくと、 日本から離れて海外に来たのだという実感が湧いてきました。英語や広東語のチャンネルを聴いていると、なおさら その感慨を深くしたものでした。

液晶画面  7月から8月にかけて、メキシコに3週間ほど滞在するため、成田とヒューストンの間を、日本の航空会社を使って エコノミークラスで往復しました。そのとき、座席の前の液晶ディスプレイでは、多くのチャンネルを楽しむことが出来ました。 ホーム画面を見ると、スカイチャンネル、マップ、キッズ、のほか、スカイショップ、お知らせ、通信・接続などのメニューが 並んでいます。

マップ  約12時間の旅ですが、この時間を退屈せずに使うには十分な種類と量のコンテンツが収められていました。 私は、NHKの19時ニュース『ニュース7』、ドラマ『科捜研の女』、マップ『オートズーム』、オーディオ『旅するクラシック』 などを楽しみました。特に、マップのサービスは、出発地からの飛行ルートと現在位置、高度、対地速度、目的地への予想到着時刻、 目的地までの所要時間など、知りたい情報が逐一表示されて、安心情報となっています。 また、どのようなプログラムを見ていても、機内の重要なアナウンスがあるときは、画面中央に『アナウンス中 Passenger Announcement』 という表示が出て、アナウンスが聞こえます。



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画面に見入る孫たち  孫たちは、キッズ『名探偵コナン』『ドラえもん』『きかんしゃトーマス』『おさるのジョージ』 『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』などにじっと見入っていました。幼児や小学低学年の児童に、12時間の飛行が 耐えられるかと随分心配したのですが、その必要は全くありませんでした。

 利用はしませんでしたが、機内でインターネットにアクセスできるサービスがあります。 Wi-Fiの利用は、30分(15MBまで)で4.95ドル、一時間(30MBまで)で8.95ドル、 離陸の約5分後から着陸の約5分前(100MB)まで19.95ドルとなっていました。時間制ではあるのですが、 使用するデータ量にも制限があって、それを超えると接続が終了します。また、航空機のWi-Fiサービスの使用を 認可していない国(インド、アフリカ・中米・南米の一部など)や北極上空などでは使用できません。 この航空機内のインターネット接続サービスは、乗り継いだアメリカの航空会社にもありました。 航空機からインターネット接続できる時代になったことにも、『今』を感じました。 でも、仕事でどうしてもインターネットにアクセスしなければならない忙しい人には有難いサービスであると思いますが、 一般人にはまだまだ高価なサービスで、簡単には利用できません。

番組表  この航空会社、2017年の英国の格付機関SKYTRAX社のエアライン・スターランキングで、 5年連続で世界最高評価『5つ星』を獲得したそうです。私は、その理由のひとつに、スカイチャンネル、マップ、キッズなどの コンテンツやICT関連のサービスがあるのではと感じました。私は、外国の航空会社も利用していますが、このようなサービスは 経験したことがありません。飛行機の最後部にあるトイレを利用した帰りに、ほとんどの乗客が液晶画面を見ていて、 その内容が人によってさまざまである状況を見て、『うーん』と感心してしまいました。35年前とは違う『今』を感じました。 航空機内に『巨大なオンデマンドシステム』が構築され、乗客のニーズに合ったコンテンツを、乗客が必要とするときに提供する サービス(情報システム)が出来ていたのです。


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