渋谷の観光案内標識

2017.09.09 岡田定晴
 ソワールへ続く道(作曲:Amacha)

竹下口付近  健康のために、毎日、渋谷から新宿まで、約50分の道のりを歩いています。以前は、渋谷から井ノ頭通を経て、代々木公園交番前で参宮橋の方向へ歩き、 さらに西参道口から新宿駅へ向かって歩いていました。最近、そのコースを変えて、渋谷から明治通りを歩き、新宿高島屋に至る賑やかな道を歩くようになりました。 若者や外国人観光客で賑わう表参道との交差点「明治神宮前」や、竹下通の入口にあたる「竹下口」や、カーブや起伏があり都会の雰囲気も満喫できる「千駄ヶ谷」や「北参道」を通るので、 楽しみながら歩くことができます。

観光案内標識側面  渋谷から新宿に向かって明治通りの右側の歩道を歩き、宮下公園の交差点を越えて数十メートル歩いたところで「デジタルサイネージを活用した観光案内標識」をみつけました。 見た目の大きさが凡そ、高さ2m×横1.5m×奥行50cmくらいの白いボックスが道路を背にし、ディスプレイを歩道に向けて設置されています。 この観光案内標識は、側面に白地に黒文字で「Tourist INFORMATION」と書かれていて、遠くからでも目につきます。 正面からみると、縦型のタッチパネルディスプレイが、左右に2台置かれています。 ディスプレイの上の枠には、横一列に「←JR渋谷駅450m、i Area Guide Map 周辺案内図、地下鉄明治神宮前<原宿駅>800m→」と書かれています。 2台のディスプレイの間には、Tourist INFORMATION という文字と、12の記号が書かれています。この記号を見ると、 案内標識で何を知ることができるのかが理解できます。同じ記号-アイコンは、右側のディスプレイの下の方にも表示されています。



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観光案内標識前面  右側のディスプレイには、案内標識の設置場所を中心とした地図が表示されています。 付近の「観光、飲食店、ショッピング、宿泊施設、イベント、乗り換え運行情報、 ATM/両替所、コインロッカー、トイレ、観光案内所、駅、バス・タクシー」の情報を知ることができます。 タッチパネルは、ディスプレイよりかなり前方にあって、両者は随分離れた位置関係にあるのですが、 ディスプレイに表示されているボタンを見て押せば確実に動作します。 日本語、英語、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語を選択することができ、海外からの旅行者も操作できます。 ATMや両替所、コインロッカー、トイレや駅の場所などは、旅行者が最も知りたい情報でしょう。 公式サイトと連携した「多様なジャンルの飲食店情報、イベント情報、乗換案内や列車の運行情報」も 充実しています。このほか、忘れ物、病気やケガ、火事や地震への対応情報も提供されています。

Free WiFi の表示とバーコード  もうひとつ、2台のディスプレイの間には、Free WiFiの案内が書かれています。 スマホをこのWiFiに接続し、2次元バーコードやNFC(Near Field radio Communication:近距離無線通信)で URLを読み取って接続すると、デジタルサイネージから離れていても、同じコンテンツを手許で見ることができます。 ホテルや自宅に戻ってからも、このURLで同じ情報をじっくり確認することができます。

夜の観光案内標識と左側ディスプレイ  2台のうちの左側のディスプレイは、旅行者への歓迎メッセージや東京の魅力を伝えるムービーが 表示されています。その画面にタッチすると、右側と同じ案内が表示されます。 災害時の情報提供機能も供えていて、ニュースや避難勧告情報が表示されるようで、観光案内以外にも重要な役割を 担っています。

観光案内標識・情報取得画面  この観光案内標識、東京都の「2020年に向けた実行プラン(”スマート シティ”の政策の柱7=世界に開かれた国際・観光都市)」 にかかわる事業で、東京都及び公益財団法人東京観光財団が、平成27年度から外国人旅行者の利便性向上を目的に、 整備を進めてきたものだそうです。
 最近のヨーロッパやアメリカは知りませんが、このように丁寧で十分すぎるほどの情報提供を見たことがありません。 最近訪れたアジアやメキシコにもありませんでした。私も、この観光案内標識を使ってみて、 観光やオリンピックなどで日本を訪れる世界の人々から感謝されるものであると感じました。 ただし、誰もが気軽に画面にタッチして情報を獲得したり、バーコードを読み込んでスマホで情報を獲得するためには、 まだ長い時間がかかると感じました。操作性云々の問題ではなく、サービスの機能を理解し多くの情報の中から 自分が望むものを短時間で取り出すことの難しさ、ICT(情報通信技術)を使った仕組みに共通の問題なのだと思います。
 でも、東京都がここまで先進的なことに挑戦しているということに、新しい時代を感じました。 築地や豊洲も大事ですが、ICTの利活用による旅行者へのサービス向上の努力も、今の東京や日本に とって極めて重要であることがもっと認識されても良いのではないでしょうか。ネガティブな情報ばかりでなく、 こうした先進的な取り組みを、マスメディアでもっと取り上げてもらいたいものだと思いました。 そうでなければ、こうした世界をリードするような動きが沈んでしまいそうな気がします。


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