CEATECで見える「現在、過去、未来」~その2~

2017.10.20 岡田定晴
 夢の名残り(作曲:Amacha)

 以下の表は、毎年CEATECを訪れて印象に残ったことを書きとめたメモです。 各年とも、上の2項目は全体的な印象で、それ以下の9項目は強く印象に 残った展示等の中からベスト9を選んだものです。この一覧表は、 私の主観で作成したものですが、ほぼ2年間隔で記録した項目を眺めると、 この10年間が、『家電の時代から、インターネット・クラウド、省エネ、 IoT/CPSの時代』へと、大きく転換してきた時期であったことが わかります。
年表
 各年のCEATECで最先端であったものが、後に生活の中に深く定着したものや、 定着せずに消えていったものがあることが読み取れます。
ですから、 この表を見ていると、『現在、過去、未来』が見えてくるのです。

この表に加える『2017.10』は、以下のようになります。

・ 選手交代(出展社数667社のうち新規出展社数が327)
  華為技術、DJI、トヨタ、日産、楽天は?
・ IoTタウン2017、AI-人工知能パビリオン、ベンチャー&ユニバーシティエリアの賑わい

・ 顔認証を活用した決済サービス、 リアルタイム顔認証
・ IDカード型ハンズフリー音声翻訳端末
・ エレベーター行先予報システム
・ 生活支援ロボット、 音声によるコンピュータインターフェース
・ 空間認知システム
・ LinkRay、 CEATEC会場 リアルタイムヒートマップ
・ ウェアラブル向け小型2次電池、 WEARABLE MAKER PATCH
・ 新素材開発とプリントシステム
・ スマート水素ステーション、 双方向ワイヤレス電力伝送機能




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 各年の開催テーマを振り返ってみます。
 2008年は、『デジタルコンバージェンス、新たなるステージへ。』 をテーマに、 映像や通信、情報の各分野の様々なサービスや技術が融合するデジタルコンバージェンスが、 どのような新しいライフスタイルを創造していくのかについて情報発信されました。

 2010年は、『Digital Harmony? もっと快適に、もっとエコに Digital Harmony - 機器と機器、技術と技術、技術と人、技術と地球環境。』 をテーマに、 デジタル技術、製品、サービス、コンテンツの調和が奏でる次の地球、 社会、ビジネス、暮らしの活力と可能性が情報発信されました。

 2012年は、『Smart Innovation - 豊かな暮らしと社会の創造』 をテーマに、 IT・エレクトロニクスの技術革新によってエネルギー効率が高まり、 スマート化していくIT・エレクトロニクスの多彩な提案が情報発信されました。

 2015年は、『NEXT -夢を力に、未来への挑戦』 をテーマに、 最先端技術とイノベーションを結集し、2020年をベンチマークとした未来が描かれました。 特別企画「NEXTストリート」をはじめ、キーノート、コンファレンス、展示などを通して、 CPS/IoTによる社会変化を体感できる技術やサービス等について情報発信されました。

 CEATECは2015年までずっと『最先端IT・エレクトロニクス総合展 CEATEC JAPAN』として 開催されていましたが、2016年からは『CEATEC JAPAN 2016 CPS/IoT Exhibition』となりました。

 2017年は、前年に引き続き『CPS/IoT総合展』として、『つながる社会、共創する未来』 をテーマに、 業界の垣根を超え、政策・産業・技術を連携し、IoT・ロボット・人工知能(AI)を活用した 「未来の社会」を共創する展示会でした。

年表  主催者が発表している開催年と出展社数、来場者数を表にまとめてみました。開催日数の違いや、天候の影響も あると思いますが、傾向は読み取れるはずです。2008年以前とそれ以降では、来場者数が大きく違っています。

 製造業にとって、円高で大変に苦しい時期と、情報通信技術が急速に発展する時期が重なったのでしょうか。 2007年に1ドル120円前後を推移していた為替レートが、2012年にかけて80円を切る歴史的な円高に、 2015年に125円まで円安になり、この間大きなV字型を描いています。 その後2016年にかけて100円近くまで円高となり、今は110円から120円前後となっています。 CEATECで日本の家電メーカーが隆盛を誇った時代は、昔懐かしい想い出となってしまいました。 欧米、続いてアジアから、多くの外国人が来場していたことも昔の思い出です。 CEATECを見て、古い大きな木が枯れて倒れ、それに代わって、新しい芽がたくさん出てきているような感じがします。 『最先端IT・エレクトロニクスの時代』から、『つながる社会、共創する未来をめざすCPS/IoT』の時代へと 進化しています。新しい芽が、大地に根付いたしっかりした丈夫な木になるには、 情報通信技術を積極的にとり入れて生活を豊かにしようという多くの人々の理解が 肥しになるのではないでしょうか。


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