コンビニで住民票

2018.03.02 岡田定晴
 冬の地平線(作曲:Amacha)

個人番号の通知カード  平成27年の10月に「個人番号の通知カード」と「個人番号カード申請書 兼 電子証明書発行申請書」が、自宅に送られてきました。 個人番号を求められることが少なく、「銀行口座開設」や「年金関連の申請」「確定申告」など個人番号を求められる場合も、 「個人番号の通知カード」と運転免許証などの身分証明書のコピーを提出することで問題が無かったので、 個人番号カードを申請する強い動機はありませんでした。でも、何かあるたびに、毎回2つのコピーを取ることを面倒に感じていました。 妻に「今のところカードの発行は無料だし、運転免許証を持たない人には身分証明書の代わりになるから、カードの発行を申請しよう。」と、強く勧めても、 頑なに拒否をされるばかりでした。

 個人番号の通知カードと申請書を受け取って、一年半も経過してから、やっと重い腰をあげました。 「カードを持っていたほうが便利である、多くの人が申請をするようになると発行に時間がかかり、いずれ カードの発行が有料化されるかもしれない。だから自分は申請する。どうせ申請するなら、夫婦で一緒に 申請したほうが手間が省ける。」と、半ば強制的に妻に申請書を書かせたのは、平成29年の6月初旬でした。

 翌7月の初旬に、夫婦で市役所に出向いて「個人番号カード」を受け取り、書類に暗証番号を記入して担当者に渡したときは、 会社で身分証明書を発行して貰った時のような気分でした。個人番号カードと暗証番号等の書類を 夫婦そろって保管しました。その後、確定申告や、妻の年金関連の申請で使いましたが、普段の生活の中で 有難さを感じることはありませんでした。

 最近、ある申請のために、私自身の住民票が必要になりました。自宅から10分くらいのところに市役所の出張所があって、いつもは そこで住民票の発行をして貰うのですが、最近、その出張所が閉鎖されてしまいました。住民票を発行して貰うには、 大切な時間を割いて、電車に乗って市役所に行き、申請書類を書いて提出し、長い時間待たされ、会計をして 受け取らなければなりません。妻に、住民票を取りに行ってくれと頼んでも拒否されて困っていた時に、 「個人番号カード」を思い出しました。「最初は大変かもしれないけど、一度やってみればその次からは簡単な筈である。」と思って、 コンビニで住民票を発行して貰うことを思い付きました。



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 朝、「今日の夜、仕事から帰って、コンビニに行って住民票を発行して貰うから、市役所には行かなくて良い。」と 妻に言い残して家を出ました。自宅に帰ったのは、夜10時を過ぎていました。深夜でも大丈夫かと思い、「個人番号カード」の 発行の際に受け取った書類を見ると、23時まで対応すると書いてありました。登録した暗証番号を確認して、 直ぐ近くのコンビニに向かいました。幸いなことに、誰もコピー機を使ってはいませんでした。

メニュー  コンビニのコピー機(複合機)のところへ行くと、その右側に何やら見慣れない端末のようなものがありました。 タッチパネルディスプレイ、ICカードを置く場所、コインの投入口、お釣りの受け取り口などを備えたボックスです。 タッチパネルディスプレイには、コピー・プリント・スキャン・ファックスなど複合機の機能、 チケット、プリペイドサービス、スポーツ振興くじ、行政サービス、保険、学び・教育、などの メニュー(アイコン)が並んでいました。また、日本語、English、中文などの言語を選ぶアイコンもありました。

選択メニュー  「行政サービス」をタッチすると、「証明書交付サービス」、「利用登録申請」の2つの大きな メニューが表示されました。内容を理解するのに少し時間がかかりました。住んでいる市区町村と 本籍地が異なる戸籍証明書の交付を受けるときは、利用登録申請の操作をして、 本籍地の市区町村での登録完了を待つ必要があるということでした。
図解による指示 周囲に誰もいなかったので、落ち着いて読めましたが、文章は難解です。もっと簡単に意思決定ができる表現方法があるのではないかと 思いつつ、今回は住んでいる市区町村の住民票なので「証明書交付サービス」を選びました。 「証明書交付サービス利用上の同意事項」を読んで「次へ」をタッチすると、 マイナンバーカードをセットする様に、図で指示されました。

カード読み取り  指示された場所にマイナンバーカードをセットすると、「証明書交付サービス」のメニューが表示されるので、「お住まいの市区町村の証明書」を 選択しました。次の画面で、公的個人認証の暗証番号を設定すると、カードを取り外して次に進むよう、メッセージが表示されます。

必要な証明書  カードを取り外すと、必要な証明書の選択画面(住民票の写し、印鑑登録証明書、各種税証明書)が表示されます。 「住民票の写し」を選択して確定すると、「交付種別(本人のみ、世帯全員、世帯の一部)」を選択する画面が表示されます。 「本人のみ」を選択すると、世帯主・続柄の記載の有無や、 支払請求&印刷 本籍地・筆頭者の記載の有無を選択する画面が表示されます。 最後に、必要部数を入力して確定すると、発行内容の確認会面が表示されます。 訂正が無ければ、「確定する」をクリックすると、支払い請求画面に移り、現金を投入口に入れて「プリントスタート」をクリックします。

領収書  「プリント中」の画面が表示され、「プリントが完了しました」「正常終了」「プリントを取り出してください」 「領収書をプリントしますので、そのままお待ちください。」などのメッセージが表示されます。 「ここから領収書がプリントされます」という図解入りのメッセージが表示され、
取り忘れに注意 最後に、「! 取り忘れに注意してください。」というメッセージと共に、図解で「証明書など」「ICカードなど」「領収書など」 が表示されます。「確認」を押すと、「ご利用ありがとうございました。」のメッセージが表示されて終わります。


 何事も、いくら言葉で説明されても、身をもって体験しなければ、本当のことは分かりません。 「個人番号カード」の有難さは、これだけ多くのことを体験してやっとわかりました。妻にも理解できたでしょう。 これまで、情報システムの活用は、企業の中で行われるものでした。しかし、ICT(情報通信技術)の発展によって、 国民一人一人が情報システムを活用し恩恵を受ける時代になりました。情報システムの活用は、企業の中でも大変なこと だったのに、「国が構築した情報システムを国民が活用していく」という、ほんとうに大変な時代になったと感じました。 コンピュータや、情報システムは、使う人のスキル以上の対応はしてくれません。だから、こうしたことは苦手だと思う人も、 何事にも挑戦していかなければ、情報システムの恩恵を受けることはできません。また国も、国民に役立つ仕組みを 考え、次々に実現していかなければ、「Googleの方が人々に役立つ仕組みを考えている」と感じる人が増えていくの かもしれません。目には見えませんが、情報システムの利活用に関して、国と国との間でも格差が生まれていくのでしょう。 こうした社会やソフトウェア技術を牽引していく人材の育成は、大きな課題です。ほんとうに、大変な時代になりました。

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