朗読者からのコメント 「花のき村と盗人たち」





 泥棒でも、本来は善い人である。周囲が皆冷たく接するので盗人になってしまった人も、 人から信用されることで美しい心に変わる、こころの善い人々が村を盗人の難から救ったという ストーリーになっており、心温まる童話です。

 もう知る人は殆どいないでしょうが、名古屋で制作されたドラマが全国に向けて放送されていた 時代があります。そのドラマの中に、「こども劇場」という、日曜日の午前中に放送される 単発のドラマがありました。白黒テレビ、地上アナログ放送、VHFの時代です。 その「こども劇場」で、「花のき村と盗人たち」が放送されました。 東京オリンピックが開催された翌年の2月のことでした。



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昭和40(1965)年2月21日(日)中日新聞朝刊ラテ欄「チャイム」より引用させていただきます。
◇・・・NHKテレビけさの子ども劇場は半田市に生まれ、若くして世を去った童話作家新美南吉の 作品から鈴木新吾が脚色した「花のき村と盗人たち」を名古屋制作で放送する。 花のき村へやってきた間ぬけな泥棒五人-その子分がかせぎに出たあと、遊んでいた子どもが カシラに牛を預けて去る。タナからボタモチと喜んだものの、どうしても涙が出てくる。 人から信用されたことのないカシラには子どもから頼まれたことがよほど身にしみたのか、 泥棒家業が恥ずかしくなってきた・・・・・・。泥棒も根は善人だというユーモアとペーソスあふれたお話。

 ということで、私は三吉という名前の子供、盗人に子牛を預ける役で出演しました。 自分の背丈と同じくらいの牛に触れるのが怖くて、新聞記事の通り、牛は動かさずに自分が動いて 盗人に綱を渡したこと、幸いにも牛はおとなしくしていたことを覚えています。


 さて、朗読です。花のき村と盗人たちは、盗人のかしら、釜師・錠前屋・角兵ェ獅子・大工だった盗人、 村の子供、村役人の老人とのやりとりを「語り手」が進行していきます。これらの登場人物の性格や その時の気持ちが伝わるように、また、こころの善い人々が住む村、盗人が人から信用されて美しい心を 持ったという雰囲気がわかるように朗読をしました。編集で欠落した部分が数か所ありますが、 お許しください。
(33分00秒)


岡田定晴


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